◇ 症状/重症リスク


 ◇ 後遺症

コロナ感染の長く辛い後遺症、医療費膨張のリスクも [ニューヨーク/ロイター 2020/8/3]

 

 胆嚢手術からの回復を待ちつつ、ニュージャージー州フォートリーの自宅で静養していた72歳のローラ・グロスさんは、3月下旬、再び体調の悪化を感じた。喉と頭、目の痛みに加えて、筋肉や関節の疼きも続く。まるで霧のなかに閉じ込められているようだった。診断された病名はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)。それから4カ月経っても、症状はなお残っている。グロスさんはかかりつけの医師や、循環器科、呼吸器科、内分泌科、神経科、消化器科などの専門医の診察を受けた。しかし、「4月から頭痛が続いている。微熱も一向に治まらない」と彼女は言う。

 

<各国で「ポストコロナ症候群」>

 COVID-19に関する研究が続く中、り患した患者に新たな合併症が次々に見つかっている。回復した患者が数カ月、場合によっては数年にも及ぶ長い期間、辛い後遺症に悩み続けるケースもある。

 そういうエビデンスは相次いでおり、その治療にどれほどの費用が必要になるのか、長期的なコストの研究も医療関係者の間で広がってきた。

ニューヨーク市立大学(CUNY)パブリック・スクール・オブ・ヘルスのブルース・リー氏は、米国の人口の20%が新型コロナウイルスに感染した場合、退院から1年後までに生じる医療費が少なくとも500億ドル(約5兆3000億円)に達すると試算している。ワクチンがなく、人口の80%が感染する場合、そのコストは2040億ドルにまで膨れあがる、という。

 ロイターが医師や医療エコノミスト10数人にインタビューしたところ、米国、英国、イタリアなど新型コロナによる大きな打撃を受けた国々が、こうした長期的な症状を「ポストコロナ症候群」とみなすことができるかどうか検討していることが分かった。

 米国・イタリアの複数の病院では、後遺症患者専用の治療センターを創設し、フォローアップ治療の標準化を進めている。

COVID-19の長期的な影響に関する国家レベルの研究を先導しているのは、英国保健省と米疾病予防管理センター(CDC)である。医師らによる国際パネルは、回復した患者に対する中長期的な治療基準について8月中に世界保健機関(WHO)に勧告を行う予定だ。

 

<治療コスト判明には数年も>

 新型コロナ感染者は世界全体で1700万人以上。その約4分の1は米国で発生している。

 医療専門家らは、回復した患者に生じるコストが完全に判明するまでには何年もかかるだろうと述べている。

 こうしたコストが生じるのは、COVID-19が心臓、肺、腎臓など複数の臓器にダメージを及ぼし、定期的なスキャンや超音波検査など高額な医療措置が必要になる可能性が高いこと、さらには、まだ十分に理解されていない神経学的な問題が生じることによるものだ。

「JAMAカーディオロジー」誌が行った調査によれば、ドイツにおける45─53歳のCOVID-19患者のグループでは75%以上に心臓の炎症が見られ、将来の心不全の可能性が高くなっていることが分かった。

 また「キドニー・インターナショナル」誌による調査では、ニューヨークのある医療法人が対応したCOVID-19患者の3分の1以上で急性腎障害が見られ、15%近くで人工透析が必要になったとされている。

 

 パンデミックの初期の中心地であったイタリア・ベルガモのマルコ・リッツィ医師によれば、ジョバンニ23世病院では600人近いCOVID-19患者の予後について、肺機能の障害が約30%、神経学的な問題が10%、心臓の問題が10%、慢性的な運動能力障害が約9%に見られるという。リッツィ医師は、患者のための長期的なフォローアップを勧告するWHOパネルの共同座長を務めている。

 「3カ月、6カ月、1年といった範囲で診察・治療を必要とする人がどれくらいいるのか、グローバルなレベルでは見当がつかない」とリッツィ医師は言い、軽症だった人でも「将来的に影響が出る可能性はある」と付け加えた。

 ミラノのサン・ラファエレ病院では1000人以上のCOVID-19患者の予後を観察している。心臓に重大な問題が生じる例は稀だが、約30─40%の患者は神経学的な問題を抱え、少なくとも半数は呼吸障害に悩まされている、とモレノ・トレソルディ医師は言う。

長期的な後遺症の中には、ごく最近になってから判明したものもあり、医療エコノミストらが医療コストを調査し、正確な試算を行うにはまだ時間が必要だ。

 英国・イタリアでは、こうしたコストはそれぞれの政府が負担することになりそうだ。政府がCOVID-19治療の公費負担を約束しているからだが、どの程度の財源が必要になりそうか詳細は明らかにされていない。

米国では総人口の半分以上が民間の医療保険に加入しているが、保険業界ではCOVID-19関連コストの試算が始まったばかりである。

 

 前出のニューヨーク市立大学のリー氏は、米国内のCOVID-19患者が退院後に負担する平均コストは年間約4000ドルになると試算している。主として、患者の約40%が抱える急性呼吸促迫症候群(ARDS)と敗血症による長期的な問題のためだ。

この試算は、中程度の症状による入院から最も重症の患者まで対象としているが、心臓や腎臓へのダメージといった、他に想定される合併症については考慮していない。

 リー氏の試算によれば、入院には至らなかった患者でも、最初の発症後に負担する平均コストは年間1000ドルになるという。

 

<「起き上がるだけでも辛い」>

 COVID-19の後遺症が長引くことで追加コストが生じれば、米国での医療保険料が上昇する可能性が出てくる。カイザー・ファミリー・ファウンデーションによれば、COVID-19の発生を受けて、すでに一部の医療保険では2021年度の総合医療保険の保険料を最大8%引き上げている。

 テネシー州ノックスビルとアトランタで暮らす元精神分析医のアンヌ・マッキーさん(61)は、5カ月近く前に新型コロナに感染したとき、多発性硬化症と喘息を患っていた。彼女は今も呼吸に苦しさを感じている。

 「調子の良い日は何回か洗濯もできる。でもここ数日、起き上がって台所で何か飲むだけでも辛い」と彼女は言う。

マッキーさんはこの間、診察・検査・処方薬に5000ドル以上も費やしてきた。医療保険からは、遠隔診療240ドル、肺スキャン455ドルも含め、1万5000ドル以上が支払われている。

 

 米保険計理士協会で調査研究担当マネージングディレクターを務めるデイル・ホール氏は、「ある疾病で重症になったことから生じる問題の多くは、その後3年、5年、20年と続く可能性がある」と語る。

米国の保険計理士たちは、今後のコストを把握するために、新型コロナの患者と、健康特性は似ているが新型コロナに感染していない人の保険利用記録を比較し、数年にわたって追跡調査している。

 英国では、入院を経験したCOVID-19患者1万人を、退院から12カ月間、可能であれば最長25年間追跡調査することをめざしている。この調査に参加する科学者らは、アフリカでのエボラ生存者に見られたような、長期的なCOVID-19症候群を定義することを想定している。

 

 リバプール大学のケイラム・センプル教授は、「回復した患者の多くは、肺に傷跡が残り、疲労感に見舞われるのではないかと考えている。あるいは脳血管へのダメージ、心理的な苦痛も残るかもしれない」と話す。

 

 バーミンガム病院で働くマーガレット・オハラさん(50)は、こうした調査の対象とならない多くのCOVID-19患者の1人である。症状が軽く、入院せずに済んだからだ。だが、ひどい息切れなど健康上の問題が繰り返しているため、まだ仕事には復帰できずにいる。

オハラさんは、自分のような患者は、英国の長期的なコスト計画の対象外になるのではないかと心配している。

「私たちは、かなり長期間にわたって、費用のかさむフォローアップ治療が必要になるだろう」とオハラさんは言う。

 

(翻訳:エァクレーレン)


コロナ後遺症の実態 退院後も疲労感や呼吸困難 (日経Gooday 30+ 2020/8/8)

 

 新型コロナウイルスの感染者数が全世界で1600万人を突破するなか、このウイルスに感染・発症し、回復した患者の後遺症に関する情報も少しずつ蓄積されてきました。日本国内では、7月に入って、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症し、軽症で済んだ若い患者が、PCR検査が陰性となった後も体調不良に悩み、元の生活になかなか戻れないなど、この感染症の後遺症と考えられるケースが報道されています。

 世界でも、新型コロナウイルス感染症の回復後の患者を苦しめるさまざまな症状について調べた論文が、次々と発表されています。それらをいくつか紹介していきましょう。

 

 軽症患者の半数に、1カ月後も味覚や嗅覚の異常

 まずは、回復後も続く味覚障害と嗅覚障害について調べたイタリアの論文です。嗅覚や味覚の異常は、新型コロナウイルス感染症の初期症状として多く報告されていますが、イタリア・パドヴァ大学の研究者らは、こうした症状が1カ月も持続する患者が少なくないことを明らかにしました。

 

 対象となったのは、新型コロナウイルス感染症の発症時点で味覚障害または嗅覚障害があった113人の軽症患者です。これらの患者の経過を4週間後まで追跡したところ、55人(49%)は味覚障害・嗅覚障害の症状が消失していましたが、症状は改善したものの持続していた患者が46人(41%)、症状が継続または悪化していた患者が12人(11%)いました。これらの症状の持続は、新型コロナウイルスの感染の持続とは関係していませんでした。

 

 入院した患者、退院しても約9割に何らかの症状が持続

 やはりイタリアで行われた別の研究では、新型コロナウイルス感染症で入院治療を受け、2回のPCR検査で陰性が確認されて退院した患者143人がその後に経験した、さまざまな症状について報告しています。

 143人の平均年齢は56.5歳、女性が37%でした。18人(13%)はICUに入院した患者で、77人(54%)が酸素療法を受けており、21人(15%)は非侵襲的な機械的人工換気(マスク式の人工呼吸器による換気)を、7人(5%)は侵襲的な機械的人工換気(気管チューブ、気管切開チューブなどを介した人工呼吸器による換気)を受けていました。入院期間の平均は13.5日でした。

 発症から平均60.3日、退院からは36.1日の時点で、持続する症状の有無を調べたところ、症状がなかった人は18人(13%)にとどまり、残る125人(87%)には何らかの症状がありました。

 持続していた症状として最も多かったのは疲労感(53%)で、続いて呼吸困難(43%)、関節痛(27%)、胸痛(22%)が多く報告されました。ほかには、せき、嗅覚異常、乾燥症、鼻炎、目の充血、味覚異常、頭痛、たん、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、下痢などが継続していました。症状の数が1つから2つだった人が46人(32%)、3つ以上あった人が79人(55%)で、QOL(生活の質)の低下は63人(44%)に認められました。

 米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)を率いるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏は、7月9日に行われた国際エイズ学会の新型コロナウイルス感染症プレスカンファレンスで「新型コロナウイルス感染症を発症し、治療を受けた後で、かなりの人が筋痛性脳脊髄炎(以前は慢性疲労症候群と呼ばれていた)に似た症状を示し、疲労感が強く、頭にモヤがかかったような状態で、集中できない日々が続いて、発症前の生活をなかなか取り戻せない、という話を聞いている」と語っています。

 

 退院3カ月後も7割のCT画像に異常 4人に1人は肺機能異常

 新型コロナでは退院後も後遺症に悩まされる患者が多いことが分かってきました。新型コロナウイルスの後遺症は、こうした自覚症状だけにとどまりません。中国鄭州大学などの研究者たちは、新型コロナウイルス感染症にかかり、退院した55人(軽症4人、中等症47人、重症4人)の患者について、退院3カ月後の胸部CT画像や肺機能を調べました。その結果、35人(64%)に、退院後3カ月の時点でも新型コロナウイルス感染に関連した症状が残っていました。また、39人(71%)の胸部CT画像にさまざまな程度の異常が認められ、肺機能の異常も14人(25%)に見られました。

 

 厚労省や呼吸器学会も調査に乗り出す

 こうした情報に基づいて、日本の厚生労働省も7月10日、約2000人を対象に新型コロナウイルス感染症の後遺症についての調査を8月に開始すると発表しました。同省は、新型コロナウイルス感染症を発症し、退院後もさまざまな後遺症に悩む症例が医療現場から数多く報告されているものの、原因が明らかではないという事態を重視。重症者、軽症者からそれぞれ約1000人ずつ選んで、呼吸器の機能低下を中心に原因究明を進めることになっています。日本呼吸器学会も7月17日に、この問題に関する調査・研究を開始すると発表しました。

 新型コロナウイルス感染症は2020年2月に感染症法上の指定感染症として定められたため、発症した人の医療費は、PCR検査の時点から公費で賄われます。しかし、PCR検査で陰性になり、退院が認められた後にも持続している症状や、新たに現れた症状に対する治療を受ける場合、自己負担は免れません。

 若いから感染しても軽く済むだろう、あるいは、治療費は国が出してくれるから感染しても大丈夫、などと考えることは危険です。

 後遺症のような症状が長く続けば、身体的・精神的な苦痛に加えて、医療機関に通う時間も医療費もかかります。発症前の生活に戻るまでに、何週間も、何カ月もかかるかもしれません。「新しい生活様式」の下、日常生活を営んでいくためには、また、少しでも元の状態に近づけるためには、1人1人が、引き続き油断せずに感染予防策を徹底していくことが欠かせません。

 

 

(大西淳子)

医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

 

 



厚労省が研究開始 7%が苦しむ新型コロナ「後遺症」の深刻

日刊ゲンダイ 更新日:

 

 10日厚労省が、新型コロナウイルスの「後遺症」について8月から研究を開始すると発表した。来年3月末まで、2000人を対象に実施する予定だ。政府が研究をスタートさせるのは、後遺症に苦しむ人が予想以上に多く、症状が深刻だからだ。

 後遺症の症状は、発熱や頭痛、息苦しさ、倦怠感、味覚障害などさまざま。NHKの5月時点の調査によると、7%が後遺症に苦しんでいるという。PCR検査で陰性になり退院した後も、社会生活を送れないケースもある。どうやら新型コロナは陰性になったらオシマイ、という病気ではないらしい。


 21歳の男子学生は、退院後も2カ月近く、37度5分前後の発熱や倦怠感、息切れ、嗅覚障害が続き、休学を余儀なくされているという。
 また、10代の男性は、血液検査や肺のCT検査では異常は見つからないのに、発熱や頭痛といった症状が消えず、倦怠感の強い日はベッドから起き上がれないという。体重は8キロも減った。

 

 イタリアの呼吸器学会は、新型コロナから回復した人のうち3割に呼吸器疾患などの後遺症が生じる可能性があると指摘している。

■陰性でもウイルスが臓器に残っている可能性が

 どうして、陰性になっても重い症状が続くのか。原因として“肺線維症”や“免疫暴走”“ウイルス残存”などが考えられている。
 新型コロナに限らず、肺炎には“肺線維症”という後遺症がある。肺が萎縮して肺組織が硬くなってしまい十分に酸素を取り込めなくなり、息切れが起きてしまう。
 “免疫暴走”は、免疫システムが過剰反応し、正常な細胞まで攻撃してしまう現象だ。発熱や頭痛は免疫暴走が原因の可能性があるという。

 また、PCR検査では陰性でも、ウイルスが臓器に残っている可能性も考えられるという。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
 「新型コロナは、通常の風邪とは違うということです。このウイルスは、肺だけでなく、全身に影響を与え、炎症を起こす力がある。炎症が回復する過程でさまざまな症状が出ているとも考えられます。もちろん、肺線維症や免疫暴走、ウイルスが体内に残っている可能性もあるでしょう。いずれにしろ、まだ分からないことが多い。なぜ、人によって無症状だったり、後遺症まで生じるのかも大きな謎です」

 安倍政権は「Go To キャンペーン」などと、全国規模の旅行を奨励しているが、大丈夫なのか。 





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