◇ 子ども 







学校再開1カ月 コロナ対処、教員奔走

毎日新聞202077日 東京朝刊

 

 

 新型コロナウイルスの影響で、学校では今、長期休校による学習の遅れをどう挽回するかという課題に加え、感染防止対策にも神経をとがらせる日々が続く。都市部の学校が再開されてから1カ月。「新しい生活様式」下の教室はどうなっているのか。奔走する先生たちの姿を追った。

児童の負担気遣い 小学校

 シュッ、シュッ。6月30日午後3時半過ぎ。放課後、誰もいない教室で一人、消毒液のスプレーと布巾を手に、机や扉の取っ手を拭いていく。

 東京都練馬区立北町小学校(児童数670人)。6年1組の担任、安里陸郎教諭(40)は消毒作業を終えると、電子黒板の電源を落とした。ふーっと息を吐くと、この日取材していた記者につぶやいた。「僕、きょう、水分取りましたっけ?」。記者が見る限り……給食の時に口にした牛乳だけだ。

 元々多忙だった教員の日常は、コロナの影響で拍車がかかっている。北町小は約3カ月の休校の後、6月1日に再開した。分散登校や午前授業を経て、22日に通常授業に戻ったが、授業の遅れを取り戻すため7月から月2回の土曜授業が始まり、夏休みも予定より約2週間短縮する。

 感染防止にも気が抜けない。2時間目と3時間目の間の15分間の中休み。じゃれ合っている児童に「それはやむを得ない密集? 伸ばした手の距離を取ろう」とやんわり注意する。マスクを外した児童には「直そう」とジェスチャーを送る。できたら親指を立ててニヤリ。一つできなかったらダメではなく、リスクのある場面をみんなで一つずつ減らしていこう。そんな認識を教員全員で共有し、児童の負担に配慮している。

 3、4時間目の家庭科はミシンを使ったエプロン作り。通常ならミシンを2人1組で一緒に使うが、感染防止のため1時間ずつの交代制にした。ミシンを使わない児童はその間、隣でプリント学習。交代前には安里教諭が十数台のミシンを消毒して回った。

 さまざまな制約が伴う学校生活。子どもたちが疲れていないか、異変はないか、絶えず気を配る。「みんなすごく疲れてるよね。無理しないで」。この日、記者は安里教諭がこんないたわりの言葉を掛けるのを3度聞いた。「本当は自分自身、感染への不安は強くあります。でも、僕ら教員が抱いているプレッシャーは子どもたちに感じさせたくないんです」

 休校中の5月。田村亜紀子校長は、6年生に「最高学年の皆さんへ」と記したメッセージ文を送った。「下級生に声を掛け、遊び、手本として活躍する場面が今はなくなってしまったけれど、いつもと違う学校生活が始まった時、どんなことができますか」。そんな問いに、それぞれ思いの詰まった答えが返ってきた。「本の読み聞かせをしたい」「先生に負荷をかけない」――

 田村校長は言う。「コロナで多くの制約がある中、子どもたちにそうした機会をなかなか作れないでいる。先生たちは焦りやもどかしさと闘いながら、『ここまでならできるんじゃないか』とギリギリのラインを、日々模索し続けています」【千脇康平】

 

生徒に自主性促す 中学校